[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
手塚誕記念に小話を書いてみました。
が、内容は全く誕生日関係ないし、ハッピーな感じ微塵もしないという…。
悲恋にしたつもりはないですが、悲恋でもなんでもバッチコーイ!な方じゃないと読むのキツイかもしれません。
大丈夫そうな方は、つづきからどうぞ。
私は手塚書けないなぁ…と身に沁みました。
しかも、7日以内に書き終わらなかった…(のに、日付は7日になってるっていうね…)。
思いつきで始めるのはよくない、本当。
日吉夢の続きに詰まった挙句がこれです。
横道逸れたくなっただけっていう。
一番乗りだった。
5分経っても誰も来ず、仕方なしに生徒会からのお知らせプリントをカタカタ作成していた。
コンコン
その音で、自然と顔を上げ扉のほうを見る。
なんとなくノックの主は想像がついた。
会議中でもなんでもないこの時間に、わざわざノックするような人間は一人しかいない。
「はい」
応えるとすぐにガラッと扉が開いた。
そこに立っていたのは思ったとおり会長、手塚国光で。
「…一人か?」
会長の眉間に少し皺が寄ったような気がして、フォローを入れる。
「一応まだ集合時間じゃないし」
もう5分切っているので全員が揃っていてもおかしくはないけど、たまにはこんな日も、多分ある。
フォローがきちんとできたのかどうかはよくわからない。
手塚くんの表情は、ほとんど変化しないから。
こっちまで釣られるように表情が硬くなっているのがわかる。
「そうか。悪いが今日もこっちには出られない。皆にもそう伝えてくれるか?」
このところ毎日だ。
それは、大会前だから仕方がないこと。
最初からわかりきっていたことだから、それについて文句を言うつもりはない。
確かに忙しさは感じている。
もしかしたら、無意識に足が進まず、まだ誰も来ていない今の状況があるのかもしれない。
イライラしてしまうことも、多々あるから。
それでも、そんな文句を言いたい人なんて、生徒会にはいないんだ。
「みんなちゃんとわかってるから、毎日言いに来なくても良いと思うよ」
手塚くんは毎日部活へ向かう前、生徒会室に寄り、出られないことを告げる。
大会がひと段落するまではこっちには出られないと、まとめて言ってしまえば良いのに。
心配なのかもしれない。
信用されていないのかもしれない。
「…そうだな」
会長としての責任感からだとは思う。
でも、もしかしたら…って気持ちは消えない。
“そうだな”とか言いながら、ちっとも納得していないのがわかるから。
この調子じゃ明日もきっと来るだろう。
その思いが、笑って送り出すことをさせない。
「じゃあ会長は当分こっち休むってことで。早く部活行ったほうが良いんじゃない?」
まるで、もう来るな早く行けって言っているようだ。
客観的にそう思いながらも、真顔でいる自分がどうしようもない。
手塚くんのほうを見ていられずプリント作成画面をジッと眺める。
「すまないな。では…頼む」
短く、そう言ってゆっくりと扉が閉められた。
完全に閉じたところで、やっとそっちに目が向かう。
今ので、良かったの?
残念ながら、頼りないとか思われているかもしれない。
だとしたらそれは、悔しくて悲しい。
でも、それ以上に大事な、一番大きな想いがあるはずなのに。
生徒会の一員としてじゃなくて…
慌てて立ち上がり扉を目指す。
椅子が倒れた音がしたけれど、気にしている時間はない。
もの凄い音で扉を開ける。
「手塚くん!」
音で気付いたのか声で気付いたのかわからないけれど、20メートル程先の彼はこっちを向いた。
別段驚いた様子もなく。
「頑張ってね!試合見に行けないけど、応援してる!」
多分、必死すぎて笑顔はない。
呼吸とともに肩が上下に動く。
少しの間(ま)。
「ああ、全力を尽くす」
表情はわからない。
ただでさえわかりにくいのに、これだけ距離が離れているんだから。
半分以上の割合で、いつもと同じ表情だろうと思っている頭の中を、わからないままで良いという思いで上塗りされた。
応援に、応えてくれたという事実だけで、十分だったから。
-----------------
劣等感と恋心
手塚相手だと、そんな話しか書けない…。
そして手塚が、デレない…。