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つづきにて誕生日小話。
短いです。
朝、教室に入ってきた彼は明らかに浮かれていた。
お兄さんに何を貰ったとか、お姉さんには何を貰ったとか…。
“今日俺の誕生日ー!”って何度も言いながら、教室内を練り歩けば、“おめでとう”の言葉がたくさん返る。
それが嬉しくて仕方ないらしくて、一向にやめようとしない。
「菊丸、誕生日おめでとう。」
私の近くまでにやって来たところで、こっちから声をかけた。
多分そんなことしなくても、向こうから“今日俺の誕生日ー!”って、言ってきたと思うけど。
「お!知っててくれたの!?」
少し驚いた後、すぐ嬉しそうな顔をした。
「ていうか今、誕生日だって何度も言ってたから。」
「なぁ~んだ、そういうことか。でもありがとな!」
そう言って立ち去ろうとした彼を呼び止める。
「ちょっと待ってね。えーと…はいこれ、せっかくだからプレゼント。」
鞄の中から取り出したのは、普通のよりもゴージャスなポッ〇ー。
「くれんの?」
「うん、たまたま持ってたお菓子で悪いんだけど。」
「そんなの全然良いって!サンキュー!」
嬉しそうにポ○キーの箱を持った彼は、練り歩きを再開。
“誕生日!”と“おめでとう”が教室を支配する。
「偶然を装ったプレゼント作戦とは、なかなか考えたね。」
「 ………。」
今度は私のところに不二がやって来た。
来るな来るなと思ってたのに…。
「誕生日なんて僕に聞いて知ってたくせに。」
小声で喋ってるのが唯一の救い。
「あれなら偶然持ってたとしても、そんなに不自然じゃないしね。」
いつもなら高いから絶対買わないゴージャス〇ッキー。
私の作戦は、完璧不二にバレていた。
「…黙っといてね。」
「別に良いけど?」
なんか気になる言い方で了承した不二の笑顔は、この上なく胡散臭い。
これがなんで素敵な笑顔認定されてるんだろ…。
今、菊丸のほうがよっぽど良い笑顔してるじゃん。
みんなの“おめでとう”に心から笑顔を向ける彼を見て、不二の顔見て、ため息をついた。
後者の笑みにコロッと騙されてしまう乙女の多さを嘆いて…。
「何考えてるのか知らないけど、そんなにバラされたいの?」
「…すみませんでした。」
テキトーな謝罪をしながら、視線を逸らすと菊丸の姿が再び映った。
声には出さないけど、改めてもう一度…